【プロが教えるビジネスマナー】 “お茶出し”のキホン
ビジネスマナーの中でも、意外とじっくりと教わる機会の少ない“お茶出し”のマナー。「先輩のやり方を見様見真似でなんとなく……」なんて人も多いのでは。
そこで今回は、社長秘書の経歴を持ち、現在は人材育成コンサルタントを行うビジネスマナーのプロ、杉本直鴻(なおこ)先生に、「お客様が訪問された際の、正しいお茶出しのマナー」を聞いてきました! 大きく4つのポイントにまとめてみましたので、ぜひ参考に。
<POINT 1>お茶の種類は、「日本茶」がベース
まずは日本茶をお出しします。会議や面談が長引きそうな際は、途中で気分転換を兼ねてコーヒーなど違う飲み物をお出しし、味に変化をつけるのも◎
ただし、最近は、会社によって数種類の飲み物から選ぶことができて迷ってしまったり、海外のゲストが訪問された場合に何を出せばいいのか悩んでしまう人もいるはず。
そんなときは、お客様を部屋へお通しした際、どんな種類の飲み物があるかを提示した上で、お客様に直接お伺いしましょう。
お茶出しをする機会が多かったり、いくつか種類がある場合は、ドリンクメニューを用意するのも手。一度作ってしまえば何度でも使えますし、お客様としても選べる楽しさがあります。
<POINT 2>お客様にお出しする際に、茶碗と茶たくをセッティング
トレーで運んでいる間にお茶がこぼれないよう、お茶碗と茶たくは、お客様に出す際にセッティングするというのが基本です(コーヒーの場合は後述参照)。
運ぶ際、トレーには、お茶碗はそのまま乗せ、茶たくは全て重ねて置きます。清潔な布巾も忘れずに持って行きましょう。
入室後、室内のサイドテーブルにトレーを置き、布巾で茶碗の底をぬぐってから茶たくにセッティングして、お出しします。サイドテーブルがない場合は、会議テーブルの下座側の空きスペースを使用します。
尚、サイドテーブルなど空きスペースがない場合は、茶たくとお茶碗をセッティングしてから運んでもOKです。スペースを作るために会話を中断させてしまっては元も子もありません。
また、コーヒーについては、トレーで運ぶ際にソーサーとカップをセッティングしてから運びます。入室後、お砂糖とミルクをソーサーに乗せてお出しします。
<POINT 3>「上座から」「右側から」がキーワード
順番は、上座に座っている方からお出しします。上座・下座があいまいな場合は、「お客様からおもてなしをする」ということを念頭に置いておけばスムーズに決められるはずです。
また、出す方向は、お客様の右側からお出ししましょう。部屋が狭いなどの理由で右側からお出しできない場合は、無理せずに「こちらから失礼いたします」と一言添えてお出しすれば大丈夫です。
<POINT 4>お茶菓子は、気分転換にお出しするとベター
お茶菓子は、基本的に用意する必要はありません。ただし、会議や面談が長時間に及ぶ場合にお出しできれば、気分転換になって喜ばれることも。
尚、先方が手土産を持参した場合、その日の打ち合わせでその手土産をお出しするのは、ビジネスではマナー違反になるので注意しましょう。
ケーキなどの生菓子や、お相手から「一緒に食べましょう」の一言があった場合など、当日一緒に召し上がる前提の手土産については、御礼の言葉と共にお出しします。その際は、お茶菓子が左、飲み物が右、となるように置きます。
お茶出しは、実りある時間を作り上げる「立役者」!?
今回紹介したのは、マナーとしての基本的な流れや、気を付けたいポイントですが、それに完全に縛られなくても大丈夫。それよりも、会話を中断させてしまうなど、集中できない空間にしない、ということが最優先です。
お茶出しの目的は、わざわざ足を運んでくださった先方への“おもてなし”はもちろんですが、その会議や面談が実りあるものになるように『快適な空間を作り上げる』ということ。
今回ご紹介したマナーを基本に、「いい時間だったな」と思ってもらえるようにしたいですね。
監修/杉本直鴻
(株式会社SUGIコーポレーション 代表取締役、日本秘書クラブ関東支部 代表)
広告代理店での社長秘書、非常勤役員を経て、株式会社SUGIコーポレーションを設立。現在は、人材コンサルティングを中心に、ビジネスパーソンのキャリア形成や企業へのトータルコンサルティングを行う。
秘書技能検定準1級面接試験審査委員、サービス接遇検定準1級面接試験審査委員としても活躍。
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