接待の手土産は「接待交際費」?接待の経理処理の基本
接待を行うときや手土産をお渡ししたあと、待ち受けている経理処理。勘定科目は「接待交際費」なのか、金額の制限はあるのかなど、経費の問題で押さえておきたいポイントは沢山あります。今回は必ず覚えておくべき接待時の経理処理の基礎を解説します。
接待の手土産は「接待交際費」か「会議費」か
接待の費用は「接待交際費になる」と理解している方が多いのではないでしょうか。もちろん間違いではないのですが、実は「接待交際費」に分類されないケースもあります。
ポイントは、接待の費用の総額が「1人当たり5,000円」を超えているかどうか。5,001円以上の場合は、「接待交際費」に計上されますが、5,000円以下の場合は「会議費」として計上します。「接待交際費」は経費として認められる額の上限が設けられていますが、「会議費」は全額を経費として計上できるというメリットがあります。
例えば、6人で会食を行った場合の総額が60,000円だったとします。一人当たりの飲食費は10,000円。このケースでは、「接待交際費」になります。
一方、6人で会食を行った場合の総額が24,000円だったとすると、一人当たりの飲食費は4,000円ですから、「会議費」として計上できます。ただし、「接待交際費」から除外するには、会食を行った日付、参加した人数、参加者の名前、金額、店舗名、店舗所在地が記載された書類を保存しておく必要があります。
接待や会食に参加される方は、うっかり忘れてしまわないように、接待が終わったらすぐにメモを書き残しておきましょう。「会議費」で計上すると、全額経費にできるという大きなメリットがありますので、接待後の習慣として定着させましょう。
手土産の費用は「接待交際費」
ではお渡しする手土産を購入した場合、5,000円以内ならその費用は「会議費」になるのでしょうか。答えはNO。手土産の費用はその金額がいくらであっても、「接待交際費」となります。
また注意しなければならないのが、接待を行った店で同時に手土産も購入する場合です。
例えば、手土産代一人当たり3,000円と飲食代一人当たり4,000円であった場合、飲食代は一人当たり5,000円以下なのですが、飲食代のみをとりだして「会議費」にすることはできません。このケースでは、一人当たり7,000円とみなされ、全額が「接待交際費」として計上されます。
接待での手土産の予算の目安は5,000円以下。手土産の場合5,000円以下でも「接待交際費」になってしまいますが、選ぶときの基準としてはやはり5,000円を目安にすると良いようです。
- 関連リンク
- 秘書が評価する「5,000円以下」の手土産
お車代は接待交際費?
接待の経理処理でもうひとつ押さえておきたいのが、接待を行う飲食店などへの送迎に使う送迎費やお車代。こちらは額がいくらであっても「接待交際費」となります。
しかし、接待を受ける場合に、自社の従業員や役員を出席させるために要するハイヤー・タクシー代などは、「接待交際費」ではなく「旅費交通費」に計上できます。
そもそも「接待交際費」は、『交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの』(国税庁HPより引用)とされています。
このケースでは、「他社が主催する接待に出席するための費用」であり、「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」ではないため、「接待交際費」に計上しなくて構いません。
自社が接待を行う側なのか、受ける側なのかで交通費の扱い方が変わるので注意してください。
判断基準のボーダーは5,000円
以上のように接待の費用がどの科目なるかはケースバイケースですが、5,000円がひとつのボーダーとなることは覚えておきたいポイントです。経理関係は深く知ろうとすると、どんどん難しくなっていくので敬遠しがちですが、ビジネスパーソンのたしなみとして基礎はしっかり押さえておきましょう。
- 著者の紹介